呼吸器外科

診療科の特色

 2022年の県立はりま姫路総合医療センター(仮)オープンに備え、スムーズに診療が行えるように2020年4月に呼吸器外科は新設されました。
 同時に新設された呼吸器内科とともに呼吸器疾患治療の充実を図りたいと考えています。
 初診の際は十分な時間をかけ、納得のいくまで説明をいたします。
 「入手可能で最良の科学的根拠を把握した上で、個々の患者に特有の臨床状況と価値観に配慮した医療を行うための一連の行動指針」(Evidence Based Medicine)を実践していきます。
 私共は胸腔鏡下手術を主体として、積極的に最新の肺癌外科治療を行っております。さらに呼吸器内科、放射線科と連携することにより、気管支鏡検査、CT下生検、血管造影、縦隔鏡検査から化学療法、放射線治療、さらには緩和医療といった、診断から治療にいたる肺癌診療に必要なすべての設備があります。

2020年6月 気胸ホットライン 開設しました
      (地域医療機関向けのホットラインです)

対象疾患・治療法について

対症疾患

 原発性肺癌、転移性肺腫瘍、自然気胸、縦隔腫瘍、胸壁腫瘍、膿胸、炎症性肺疾患、胸部外傷、胸膜中皮腫等があります。
 胸腔鏡という内視鏡を使った手術を9割の症例で行っています。傷が小さく、肋骨を切らないので、術後の痛みが少なく、早期の退院が可能です。気胸では術後2-3日、肺癌の手術では術後4-5日で退院となります。

治療法(特に肺癌手術について)

肺癌に対する標準手術は,担癌部位の肺葉切除+系統的リンパ節郭清術ですが、現在のところ各施設で行われているアプローチ(皮膚切開)は大きく分けて以下の3通りの方法があります。

1)後側方切開開胸(図1)
 従来から行われてきた方法で、20-30 cmの皮膚切開を行い、肋骨を1箇所離断します。開胸器を用い、肋間を開大させます。もっとも広い術野が得られ、とくに胸壁や血管の合併切除、気管支形成術等に際して用いられることが多いです。出血などの不測の事態への対応が容易です。しかし術後疼痛が強く、3ヶ月以上続く慢性疼痛に移行することも少なくありません。リンパ節郭清をより徹底的に行うには良好な術野が必要との考えから、このアプローチに固執している施設もありますが、術後の生活の質を重視する観点から,次第に少数派となりつつあります。当科ではほとんどこのアプローチは用いておりません。

図1

2)胸腔鏡補助下肺葉切除(図2)
 8-10 cmの皮膚切開による小開胸および1cm前後の胸腔鏡ポートからのアプローチです。ほとんどの手技をテレホンカードの大きさの小開胸窓から直接胸腔内をのぞき込む(直視下)ことで行い、胸腔鏡は死角となる部位や、助手との視野の共有のために用います。胸腔内には術者の手が入らないため、特殊な手術器具を用いての操作となります。1)と3)の中間となるアプローチであるため、Hybrid VATSと呼称されることもあります。手術経験を積めば,本来 1)のアプローチで行っていた気管支形成術、血管形成術に対しても十分に適応可能であり,胸膜癒着や出血の対処なども容易です。
 当科では次に述べる3)への移行から癒着の極めて高度な症例、リンパ節腫大の顕著な症例以外には行っておりません。

図2

3)完全鏡視下肺葉切除(図3)
 Complete (or pure) VATS lobectomyとも呼ばれ、手術は100%テレビモニター視のみで行います。胸腔内をのぞき込むことはないので開胸器を用いたり、肋骨を切断することはありません。
 手術器械に関しては胸腔鏡下手術用の長い鉗子類が必要です。直視は3次元立体視ですが、モニターは2次元平面視であるため、完全鏡視下の手技にはある程度の経験、慣れが必要です。
 傷はもっとも小さく、疼痛も軽度です。当科ではこのアプローチを第1選択で使用しています。
 皮膚切開の個数、長さは施設によって異なりますが、当科では1 cmの創が2か所、3~4 cmの創が1か所の計3か所の創で手術を行っております。

図3

スタッフ紹介

担当医 阪本 俊彦(平成元年卒)
役職 呼吸器外科部長
認定医・専門医等
資格名
呼吸器外科専門医(呼吸器外科専門医合同委員会)
日本胸部外科学会指導医
日本呼吸器外科学会指導医・評議員
日本外科学会専門医・指導医
日本がん治療認定医機構暫定教育医
日本呼吸器外科学会関西・近畿地区胸腔鏡手術講習会インストラクター
医学博士
担当医 松本 高典(平成26年卒)
役職 担当医
認定医・専門医等
資格名
日本外科学会専門医